研究課題/領域番号 |
11740181
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
古川 裕次 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50280863)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 金属絶縁体転移 / 核磁気共鳴 / 強相関電子系 / 核スピン格子緩和時間 / 金属-絶縁体転移 |
研究概要 |
ペロフスカイト型構造のLa_<1-x>Sr_xTiO_3は、強い電子相関の効果によりモット転移点に向かってキャリアの有効質量が発散的増大を示すことが知られている。本研究では、2年間にわたりこの系の電子相関の特徴を微視的に明らかにする目的で^<47/49>Ti及び^<139>Laの核磁気共鳴(NMR)を行ってきた。本年度はさらに、最近、キャリアドープにともなう金属絶縁体転移を示すことが明らかとなった(La_<1-x>Ca_xO)Cu_<1-x>Ni_xS系においてもNMRの実験を行った。 (1)La_<1-x>Sr_xTiO_3 Ti及びLa核の核スピン格子緩和率T_1^<-1>のx依存性は、転移点近傍でどちらも顕著な増大を示すとともに、それぞれのx依存性がスケールしていることが明らかとなった。この結果はLa_<1-x>Sr_xTiO_3での動的帯磁率χ"(q、ω)が、xの減少に伴い、強い電子相関により波数q〜0から反強磁性波数ベクトルのq〜Qまでの成分が一様に増大していることを示唆しており、この系では、inter-atomicな電子相関によるTi-3dスピン間の反強磁性スピンゆらぎは重要ではなく、single-site(intra-band)の電子相関が「モット絶縁体-金属」転移には重要な役割を果たしていることが実験的に明らかになった。 (2)(La_<1-x>Ca_xO)Cu_<1-x>Ni_xS 絶縁体である(LaO)CuS(x=0)のCu及びLa核のNMRの測定結果よりCu核は1価でS=0の非磁性の状態にあり、系がモット絶縁体ではなくバンド絶縁体であることが微視的に明らかとなった。また、Cu核のT_1^<-1>の温度及びx依存性を測定した結果、x>0.05のホールをドープした試料において、金属状態に特有のT_1T=一定のコリンハの関係が観測され、この系の金属絶縁体転移を微視的に明らかにした。さらに、そのx依存性から、この系の金属から絶縁体への転移が、キャリアの有効質量の増大により生じるのではなく、キャリア数の減少により起こっていることを実験的に明らかにし、この金属絶縁体転移の機構が、チタン酸化物の場合と対照的であることが分かった。 以上の結果を論文としてまとめて報告した。
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