p波超伝導体Sr_2RuO_4の超音波吸収が、超伝導転移温度から0.1Kの範囲で測定できた。(C_<11>-C_<12>)/2横波超音波モードの吸収異常が最も顕著であるが、これは2成分オーダーパラメターの存在を実験的に示している。また、このモードの歪みと結合するオーダーパラメター成分は、成分間の角度に対応しており、カイラリティの重要さを示す結果となっている。転移温度より少し低温で、集団励起モードに起因すると考えられる吸収の増大を初めて観測した。これらの結果は、論文、及び、学会等で報告した。現在論文を準備しているのは、吸収の磁場中量子振動効果についてであり、強磁場において振動波形に異常が見出された。この異常は、2次元フェルミ面に特徴的な現象と期待される。 自作したマイクロ波測定システムを用いて、2次元有機伝導体λ-(BETS)_2FeCl_4の高周波伝導度測定を行った。この系はT_<MI>=8Kにおいて、対アニオン層のFe^<3+>(S=5/2)上に局在する3dスピンの反強磁性秩序を伴う金属-絶縁体転移を起こす。空胴共振器摂動法に基づく、高周波伝導度測定から、2次元π電子系の高周波電場と磁場に対する応答が区別できた。直流電気抵抗や、帯磁率では検出されないが、高周波伝導度が高温で異常を起こすことを発見した。π電子系の動的な特性によるものか、或いは、アニオン層によるのか、目下、その原因を理論家も交え検討している。
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