研究課題/領域番号 |
11740200
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森本 正太郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (80252633)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | 電荷分離 / 電荷不均化 / 高原子価鉄 / ペロブスカイト / 酸化物 / メスバウアー分光 / 結晶構造 |
研究概要 |
高原子価のFe^<4+>から成るFeO_6八面体をその構造中に有するペロブスカイトおよび関連酸化物系では、条件によって"charge disproportionation"(電荷分離)を起こしFe^<4+>がFe^<3+>(Fe^<4-δ>)とFe^<5+>(Fe^<4+δ>)に分かれる。 BaFeO_3とSrFeO_3の固溶体系Ba_<1-x>Sr_xFeO_<3-y>に注目した。SrFeO_3のSrサイトをBaで置換してゆくと、30%Ba置換までは立方晶の結晶構造を保ったまま格子定数が大きくなる。5Kで観測された各成分の内部磁場の大きさを、Srの量を横軸にプロットすると、Baで置換するに従いFe^<4-δ>とFe^<4+δ>に対応する内部磁場の大きさの差異が大きくなり、電荷分離の発現がより顕著となることが明らかとなった。 今回取り上げたBa_<1-x>Sr_xFeO_<3-y>ではSr-rich側においてBa置換により、頂点共有したFeO_6八面体の3次元ネットワークを、Fe-O-Fe角度を180゜に保ったままで、Fe-O距離が大きくなるのに従い、電荷分離の発現もより顕著となった。すなわち(1)CaFeO_3におけるFe-O-Fe角度の減少、(2)Sr_3Fe_2O_7における2次元性の導入とは異なる様式でe_gバンド幅が減少し、電荷分離が誘起されたと考えられる。 Fe^<4+>系では(Mn^<3+>系と異なり)3d電子特にe_g電子とOの2p電子の強い相関が大きく影響しており、SrFeO_3で形成されているe_gバンド幅を何らかの外的要因(Fe-O距離、Fe-O-Fe角度、次元性など)で狭くし、e_g電子の遍歴性を小さく(局在性を大きく)することにより、格子(FeO_6八面体)を歪ませること無く安定化する様式として、電荷分離が発現していると考えられることが明らかとなった。
|