研究課題/領域番号 |
11740204
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
多々良 源 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10271529)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | ナノ接合 / 磁気抵抗 / メゾスコピック / 磁壁 / ナノ磁性 / ナノコンタクト(接合) |
研究概要 |
研究代表者は最近主にナノスケール磁性接合や細線中の磁壁による電気抵抗の計算を行っているが、今年度はさらに研究を進めた。 まずは抵抗の起源である磁壁による散乱の反作用として電子系による磁壁への圧力を議論した。磁壁の散乱は電子系のエネルギーを下げることがわかり、さらに厚い磁壁よりも強い散乱を引き起こす薄い磁壁のほうが電子系を安定化させることがわかった。つまり電子系により磁壁を圧縮する力が生じることになる。しかしこの力は通常の遷移元素強磁性体の磁壁を変形するには足らず、交換相互作用の弱い強磁性物質で重要になると期待される。この場合磁壁の厚さは原子間隔程度まで圧縮されるはずである。 ナノスケール磁性接合の磁気抵抗については、昨年度の巨大な磁気抵抗の理論的説明をさらに詰めることを行った。状態密度の分極率の小さいFeを用いたり乱れの強い物質を用いた場合の計算を行い、その様な物質を用いた実験結果を磁壁による散乱効果で統一的に説明することができた。この一連の研究によりナノスケール磁性接合の磁気抵抗特性の基本的なところは明らかになったと考える。ナノ接合における強い磁壁の効果は高密度記憶デバイスへの応用の可能性が期待される。 また量子コヒーレンス起源の磁気抵抗の現れうる他の場合として、通常の多層膜巨大磁気抵抗系の低温での面内磁気抵抗も議論した。低温では量子コヒーレンスの成長とともに異常な磁気抵抗が現れることを予言した。
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