研究課題/領域番号 |
11740209
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
岩佐 和晃 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00275009)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 強相関f電子系 / 低温・磁場中X線回折 / 偏極中性子散乱 / 波動関数 / 磁性 / ギャップ / 少数キャリアー系 / 強相関電子系 / X線回折 / f電子波動関数 / 高圧力 |
研究概要 |
平成12年度における研究では、前年度に行った少数キャリアー希土類物質CeSbおよびYb_4As_3のf電子状態に関する実験的研究に対する理論的な理解に到達した。またPrFe_4P_<12>の未知の低温相転移における結晶構造異常をX線回折で見いだし、電子構造のギャップ形成との関連を明らかにした。 (1)CeSbの17K以下で現れる長周期磁気構造は二種類の大きさの磁気モーメントから構成されていることが知られていた。それぞれの磁気モーメントをもたらすCeの4f電子状態は結晶格子の長周期変調をもたらすことが、低温でのみ見られたX線回折ピークから分かった。それぞれの磁気モーメントに対応して4f電子が異なる軌道をとる二種類のCeイオンを考えることで実験を解釈でき、それら4f電子の波動関数を決めることに成功した。 (2)Yb_4As_3は290K以下で電荷秩序状態に転じ、Ybイオンの磁気モーメントが一次元的に並んだ鎖を作る。磁場をこの鎖に垂直にかけたときに約10K以下で磁化が大きくなることを、偏極中性子散乱によって微視的かつ定量的に測定した。この結果を、結晶格子の特徴と一様磁場から誘起される交替磁場相互作用を取り入れた理論に基づく数値計算結果と比較した。これによって誘起交替磁場の大きさを定量的に求められた。 (3)当初、PrFe_4P_<12>は6.5K以下で反強磁性転移を示すと考えられていたが、その確認となるはずであった中性子散乱実験は否定的な結果であった。この問題を研究するため低温・磁場中X線回折を行ったところ低温側で明確な結晶構造相転移が見いだされ、結晶格子の単位胞が大きく取り直されることが分かった。この構造転移は電子バンド構造の特徴から期待されるギャップ形成と協力的に起きると考えられ、報告されていた電気抵抗の転移点での増加と対応するであろうと考えられる。
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