研究課題/領域番号 |
11740240
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鳥居 寛之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (20302838)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 低速多価イオン / 微細キャピラリー金属膜 / 中空原子 / リュードベリ状態 / 古典的オーバーバリアモデル / 高励起電子捕獲 / 微細キャピラリー / リュートベリ状態 / イラスト準位 |
研究概要 |
低速の多価イオンを微細キャピラリー金属膜標的に照射すると、電子が選択的に高い励起状態へ捕獲された中空原子またはリュードベリイオンを真空中に引き出すことができる。これを価数分析し、また出射角度を測定することにより多価イオンからの電子捕獲過程を調べることを主眼とした。 実験には東大駒場のmini-EBIS(電子ビームイオン源)および理化学研究所のECRイオン源から引き出される3〜9価のキセノンイオンを用い、静電分析器ならびに、WMS型および遅延線アノード型二次元位置検出器でイオンの薄膜透過率、荷電分布を測定した。荷電分布は低価数および高価数で多く、中間の価数が少なくなる特徴をもち、これはAuger緩和過程を考慮したときのTokesiらの計算結果と一致している。ただし透過率の絶対値を合わせるにはキャピラリーの内径を表面のSTM画像からの見積もりより5倍も小さく仮定する必要があり、従来から使用してきたこの種のキャピラリー膜では内部で孔が狭まっていることが疑われた。そこで直線的な孔を持つことが保証されているマイクロチャネルプレート、更には新開発の規則性の高いキャピラリー膜を標的に用いて実験を行った結果、公称内径で議論が成立することが示され、古典的オーバーバリアモデルを定量的にも基本線で支持した結果となった。しかしながら、イオンの角度広がりについては、理論計算値よりも一桁以上小さく、ビームの垂直方向成分を数十meVしか受けていないことになり、また予想された中心に窪みを持つ外輪山状の二次元角度分布にもなっていない。これはイオンが電子捕獲をしたあと自身の鏡像電荷によって表面に強く引かれるという描像に反しているので、これを説明する為には、電子移行が起こる位置(孔の入口か出口かなど)や孔中でのイオンの輸送について更に調べることが今後の課題として残される。
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