研究課題/領域番号 |
11740303
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
地球化学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 智樹 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (20260721)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 彗星 / 惑星間塵 / 宇宙塵 / X線回折 / 太陽系 / ミニクロトロン放射光 / 蛍光X線分析 / 回折X線分析 |
研究概要 |
南極氷床で捕獲された多数の宇宙塵について、非破壊および破壊分析を組み合わせて行い、宇宙塵の起源と進化を研究した。電子顕微鏡での化学分析の結果、これらの宇宙塵は試料一粒でほぼ太陽化学組成を示すことがわかった。したがって、これらの塵は太陽系形成時に化学的に未分化な物質として形成されたと考えられる。宇宙塵一粒ごとのX線回折実験の結果、鉱物学的には二種類の宇宙塵が存在し、無水鉱物からなるものと含水鉱物からなるものであることがわかった(研究業績1)。しかしながら、透過型電子顕微鏡による観察によると、無水鉱物からなる試料のうちの多くが、含水鉱物が熱分解してできたものであることがわかった(研究業績5)。このことは宇宙塵が宇宙空間から大気圏突入する際に摩擦熱の影響を大きく受けたためであると推測される。 一方、一粒ごとおよび多粒子を用いた希ガス分析の結果、これらの宇宙塵は宇宙空間で、宇宙塵母天体の深部に存在し、その後小さな塵として宇宙空間に放出され、大部分は100万年以内に地球に到達したものであることがわかった(研究業績4,6)。以上のことから、宇宙塵の多くは太陽系初期に形成された天体の一部で、太陽系の歴史の大部分をその天体の奥深くで過ごし、最近になって塵としてその天体から放出され、地球に飛来し、その際大気圏突入時の熱の影響をさまざまな程度に受け化学的に変化し、現在の状態になったと考えられる。母天体表層で長い間宇宙線照射を受けた証拠がないことから、宇宙塵の母天体表層は非常に活発である(表面が定常的に入れ替わっている)と推測され、彗星がその母天体であるとすることと矛盾しないことがわかった。
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