研究概要 |
本年度は,白金およびロジウム-黒鉛層間化合物を調製し構造について検討した。 1.450℃,0.3MPaの塩素雰囲気下で,白金量が1〜15wt%の範囲で,黒鉛と塩化白金(V)を混合し,塩化白金-黒鉛層間化合物を調製した。300℃で塩化白金-黒鉛層間化合物を水素還元処理することで,白金を黒鉛層内に挿入した黒鉛層間化合物を調製した。黒鉛層内に形成された白金はシートの形状を持ち(厚み20〜30Å),そのサイズは塩化白金量に無関係であった。白金シート内には多数の六角形の孔が存在し,また,120°で折れ曲がった縁も多数存在した。塩化白金-黒鉛層間化合物を還元処理すると,塩化白金や白金原子が(上下に存在する)黒鉛の六角網目構造による相互作用を受けながら凝集するため,特異的な形状を示した。 2.500℃,0.3MPaの塩素雰囲気下で,ロジウム白金量が1〜6wt%の範囲で,黒鉛と塩化ロジウム(III)を混合し,ロジウム-黒鉛層間化合物を調製した。更に300℃で塩化ロジウム-黒鉛層間化合物を水素還元処理することで,ロジウムを黒鉛層内に挿入した化合物を調製した。黒鉛層内に形成されたロジウムは六角板の形状を持ち(厚み20〜30Å),そのサイズは塩化ロジウム量に無関係であった。黒鉛内のロジウムには六角形の孔は存在しなかった。ロジウムは黒鉛内にあるため板の形状をもつが,黒鉛層との相互作用は弱いことがわかった。 塩化白金,塩化ロジウムどちらの場合も,単に黒鉛と混合したものを水素還元処理した場合,大小さまざまな球状の金属粒子が得られた。上下からの黒鉛層からの立体的な障害がないために,球状の粒子が形成する。
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