研究課題/領域番号 |
11740339
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
水谷 泰久 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (60270469)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 時間分解分光法 / 共鳴ラマン分光法 / ヘムタンパク質 / 金属ポルフィリン / 振動緩和 / ラマン分光法 / 振動エネルギー緩和 |
研究概要 |
反応余剰エネルギーの緩和は、液相中での化学反応を理解するうえで非常に重要な過程である。初期の振動励起状態およびそこからの分子内、分子間緩和過程を調べるにはアンチストークスラマン線強度が直接的なプローブとなる。一酸化炭素結合形ミオグロビン(MbCO)の光解離反応では、解離直後に振動励起されたヘムが生じる。われわれはMbCOの光解離状態について、面内振動や面外振動の各モードの振動エネルギー緩和速度を求めた。 ニッケルポルフィリンで観測されたようなバンド強度の立ち上がりの遅れは、ミオグロビンヘムではいずれのモードについても観測されなかった。面内振動についてはν_5モード以外は統計的分布の予想値と合うが、ν_5モードの時定数は統計的分布の予想値に比べて3倍程度大きいことがわかった。これはヘムの振動緩和過程において、ν_5モードと他のモードとの間のエネルギーのやり取りが遅いことを示唆している。ν_3、ν_4、ν_6、ν_7モードはいずれもポルフィリン環のπ共役系構成原子の変位を伴う振動であり、互いに非調和性結合が大きいと考えられる。これに対して、ν_5モードはピロール環の炭素原子と側鎖の炭素原子との間の伸縮振動であるため、他の面内振動モードとの間の非調和性結合が比較的小さいと予想され、上述のずれを生む原因と考えられる。また、低波数側に観測された2つの面外振動[ν(Fe-His)およびγ_7モード]はいずれも統計的分布の予想値に比べ小さな時定数を示した。これは面内振動と面外振動との間の非調和性結合が小さいことに由来すると考えられる。
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