研究課題/領域番号 |
11740393
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
吉岡 直樹 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (30222392)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 分子磁性 / 安定ラジカル / 自己組織化 / 水素結合 / 分子集合体 / ニトロニルニトロキシド |
研究概要 |
本研究では、分子に自己組織化能を付与し、さらに集積過程で磁気的相互作用の経路が同時に形成されるような分子システムの構築を目的とした。具体的には、分子内および分子間水素結合に着目してニトロニルニトロキシドの2位にNH部位を有する複素環構造を導入した誘導体を新規に合成し、分子集合体中における分子配列様式が磁気特性に及ぼす影響を検討した。 1 平成11年度の研究経過に基づいて、NH部位を有するベンズイミダゾールおよびインドール環を基本骨格とする複素環を導入したニトロニルニトロキシド(NN)を新規に合成した。良質な単結晶が得られた試料に関しては、X線構造解析を行った。ベンズイミダゾール環に電子吸引性の置換基または原子を導入すると、NH部位の酸性度が高まり結果として分子間水素結合が強まった。しかしながらNH部位の酸性度が10以下となると分子間の強磁性的な相互作用を安定化する集積構造を取りにくくなり、NO部位が接近した反強磁性鎖構造に変化することがわかった。これは、ある程度酸性度が高まると、水素結合に関与していないイミン窒素原子サイトが分子間水素結合に加わるためと考察された。 2 インドール体では、ベンズイミダゾール環のイミン窒素原子がCHに置き換わるため、複素間部位に電子吸引性基(または原子)を導入しても強磁性的相互作用を安定化する集積構造を維持できることを明らかにした。SQUID磁化(率)測定(1.8〜300K)より、3K以下ではS=20に相当する超高スピン分子集合体が構築されていることがわかった。 以上より、分子間水素結合を駆動力としてラジカル分子を集積し、分子強磁性体および高スピン分子集合体を合理的に設計するための方法論を見出すことができた。
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