研究目的遂行のために、1.タンパク質分子の精製、2.タンパク質分子の単分子膜化、3.二次元結晶の機能・構造評価の順で実験を行った。 1.タンパク質分子の精製 ダイマー等によりタンパク質分子の二次元結晶化成長を妨げる可能性があるので、対象タンパク質であるフェリチンをHPLCにより精製し、モノマーのみを得た。 2.タンパク質分子の単分子膜化 フェリチンをサブフェーズに含む溶液上に、オクタデシル化したシクロデキストリン誘導体を展開し、表面圧変化をモニターすることにより、フェリチンの吸着を観察した。シクロデキストリン誘導体の単分子膜上へのフェリチンの吸着は、約10時間で飽和に達した。従って、この段階でタンパク質が最も密にパッキングしていると思われる。 3.二次元結晶の機能・構造評価 シクロデキストリン単分子膜上に吸着したフェリチンを観察するために、水平付着法により、カーボンコートしたグリッド上に転写して、負染色することにより透過型電子顕微鏡観察を行った。フェリチン分子が密に詰まった像を得ることには、成功したが、2次元結晶化にはいたっていないことがわかった。そのため、サブフェーズの組成、pH、塩濃度、温度、タンパク質濃度を種々変えることによって、フェリチン分子の2次元結晶化条件を、現在、模索している。また、フェリチンがシクロデキストリン単分子膜に吸着する際の、シクロデキストリン単分子膜の初期表面圧も変えて実験を行っている。
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