研究概要 |
インシュリン情報伝達系に基づく生理活性物質の化学選択性を評価するための分析法の開発を行った. 1.蛋白質のスプライシング反応を用いた蛋白質-蛋白質間相互作用を検出するための新規方法を開発した.相互作用検出用プローブは,2つの蛋白質に各々連結される2つのプローブ分子a,bからなる.プローブaは,スプライシングを起こす蛋白質VDEのN末側に緑色蛍光蛋白質(GFP)のN末側を,プローブbは,VDEのC末側にGFPのC末を結合した.これらプローブを相互作用する蛋白質カルモジュリンとM13ペプチドに連結し,大腸菌内で発現させた.カルモジュリンとM13存在下では510nmの蛍光極大が観測された.カルモジュリンとM13との相互作用により,VDEのN末とC末が近接しスプライシング反応が起こり,GFPが形成されたことを確認した.本法は細胞種を問わず原理的にいかなる蛋白質-蛋白質間相互作用を解析できる一般性のある方法であることを示した.(Anal.Chem.72,5151-5157(2000)) 1.インシュリン情報伝達過程のチロシンのリン酸化とSH2ドメインとの相互作用を指標とした生理活性物質の化学選択性を評価する新規方法を開発した.蛋白質間相互作用を検出する基本原理は(1)に従った.スプライシングを起こす蛋白質としてdnaE蛋白質を用い,スプリットしたルシフェラーゼにdnaEをつなげたペプチドをプローブ分子とした.リン酸化蛋白質IRS-1及びその標的蛋白質SH2ドメインをプローブに接続し,インシュリンリセプターを過剰発現させた細胞内に発現させた.インシュリンを添加すると,濃度依存的にスプライシング反応が起こりルシフェラーゼ活性が上昇することが分かった.(投稿中)
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