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岩礁潮間帯生物群集におけるトップダウン/ボトムアップコントロールの実験的検証

研究課題

研究課題/領域番号 11740420
研究種目

奨励研究(A)

配分区分補助金
研究分野 生態
研究機関北海道大学

研究代表者

野田 隆史  北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助手 (90240639)

研究期間 (年度) 1999 – 2000
研究課題ステータス 完了 (2000年度)
配分額 *注記
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
キーワード栄養塩制限 / 植食 / 食物網 / 間接効果 / トップダウンコントロール / ボトムアップコントロール / 岩礁潮間帯 / 群集生態学
研究概要

栄養塩レベルの違いが群集内の種の共存や種間関係に及ぼす影響は、古くから生態学者の興味を引いてきたが、これまでの研究の多くは平衡群集における栄養塩レベルの影響に注目したものである。植物が固着性である生息場所では、植物群落は非同調的に生じる撹乱とその後の住み着きと絶滅(パッチダイナミクス)によってその多様性が維持される非平衡な系であることが多い。このような系で、栄養塩レベルが植物同士の共存機構や食物網関係にどのように影響を及ぼすかは良く判ってはいない。
北海道南部の岩礁潮間帯中部では、二枚貝のムラサキインコガイが高密度に生息している。ここで競争的優占種であるムラサキインコガイが波により剥がされてできた撹乱パッチ(空き地)には様々な海藻と、これを餌とするグレーザー(マクログレーザーのカサガイとメソグレーザー)が生息している。本研究ではパッチ内に成立するこの群集における栄養塩レベルの影響を明らかにするため、栄養塩供給量とカサガイの密度を実験的に操作し、群集構造の変化を一年間追跡し、得られた結果から、栄養塩レベルが、種間相互作用(グレージングと競争)と、種の住み着きと絶滅率を通して群集構造の時空間変異に及ぼす影響を解析した。
その結果、栄養塩添加により、海藻の増殖速度は早くなり海藻間の競争が強くなった。またカサガイが増加し海藻へのトップダウン効果とメソグレーザーに対する排除が強くなった。また栄養塩添加区でだけカサガイの消費は海藻の多様性を上昇させた(keystone 捕食)。これは栄養塩添加によって促進された優占種の競争的排除をカサガイが効果的に抑制することにより生じていた。この多様性維持機構はパッチへの海藻の住み着き率と絶滅率に栄養塩添加とカサガイの消費が複合的に影響することを通じて生じていた。
これらのことは、北海道南部の岩礁潮間帯中部では、海藻間の競争、カサガイの量、及びカサガイの摂餌が海藻とメソグレーザーへ及ぼす影響が、栄養塩に制限されていることを意味する。さらにkeystone捕食の成立が栄養塩制限されていることを示唆する。

報告書

(2件)
  • 2000 実績報告書
  • 1999 実績報告書

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公開日: 1999-04-01   更新日: 2016-04-21  

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