研究課題/領域番号 |
11740449
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物生理
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
若林 和幸 大阪市立大学, 理学部, 講師 (10220831)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 細胞壁 / 多糖類 / フェニルプロパノイド / フェルラ酸 / Feruloyl-CoA / 転移反応 / 転移 |
研究概要 |
昨年度はイネ科植物幼葉鞘からミクロソーム画分を調製し、これに基質のFeruloyl-CoA(FA-CoA)あるいはCoumaroyl-CoA(CA-CoA)と分子量数万のアラビノキシラン(AX)を加え処理し、AXへのフェニルプロパノイドの転移を調べたが、いずれの反応条件の場合でもAXへの転移活性は検出できなかった。本年度は、先ず、フェニルプロパノイドのアクセプターとして、AXオリゴ糖を調製し処理をおこなったが転移活性は検出できなかった。次に、転移反応が多糖鎖の合成とカップリングしている可能性を調べるために、反応液に多糖合成の基質であるUDP-xyloseやUDP-arabinoseを加え処理をおこなったが、活性は見られなかった。転移活性が検出されない原因を検討したところ、ミクロソーム画分あるいはこの画分から可溶化させたタンパク質画分には、基質のFA-CoAやCA-CoAを分解する活性が見られ、転移反応より先に基質が分解されている可能性が示された。そこで、エステラーゼの活性阻害剤を加えた処理もおこなったが、転移活性は検出できなかった。次に、細胞壁アポプラストに含まれる溶液(アポプラスト液)を用い転移活性を調べた結果、AXへのフェニルプロパノイドの転移が認められた。しかし、この転移反応は、フェルラ酸やクマル酸を基質として与えた場合でも見られた。イネ科植物芽生えの細胞壁中では、フェニルプロパノイドはエステル結合により多糖類に結合しており、希アルカリ溶液処理で抽出される。しかし、転移が見られたAXを希アルカリ溶液で処理してもフェニルプロパノイドの遊離はほとんど見られなかった。通常、アポプラスト液中にはペルオキシダーゼ活性が見られることから、この転移反応はペルオキシダーゼによりフェニルプロパノイドがエーテル結合等でAXに付加された可能性が高いと考えられた。
|