研究概要 |
本研究では,高調波発生の方法を用いずに時間信号である超短パルス光から信号のスペクトログラムに対して直接的に振幅情報のみならず位相情報を同時に得る方法の実現を目的としている。さらに、光情報処理技術と超短パルス光技術を融合することによるウェーブレット変換の特徴であるマルチリゾリューショナル解析などの信号処理の考え方を超短光パルス計測技術への導入を検討する。本年度は、提案する光スペクトログラム計測の原理に基づき試作した計測システムの計測能力の向上および計測システムの自由度について検討を行った。本年度の研究により得られた成果・知見は以下の通りである。 1.一般に、超高速時間分解分光計測では繰り返し計測が基本とされているため、リアルタイム計測は困難である。作製したパルス整形システムからの既知の微弱信号光をリアルタイムに計測することにより、本試作システムによる撮像デバイスの撮像時間性能にのみ依存したリアルタイム計測が可能であることを確認した。現在、撮像時間が50ピコ秒以下の撮像デバイスが実現可能であるため、時間分解分光計測におけるシングルショット計測が可能である。 2.計測システムで用いる時間-周波数変換フィルタを調整することにより、時間分解能を数百フェムト秒から数ピコ秒まで自由に変化させた計測の実現を確認した。また、このとき波長分解能は、数ナノメートルからサブナノメートルまで変化することも確認した。 3.試作した超短光パルスのスペクトログラム計測システムの検討を行い、提案する方法による超短光パルス計測システムとして今後展開が可能な以下の具体的な項目の抽出を行った。 1)時間-周波数変換フィルタへの様々な信号処理の導入 2)高速撮像デバイスを用いたシングルショット計測の実現 3)実装技術を導入する高い計測精度を持つ実用計測システムの実現
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