| 研究概要 |
本研究は,時空間の非線形ダイナミックスを内在する非線形空間光回路おいて,時空間パターン発生の制御により,光画像の発生,検出,処理を行う新しい信号処理システムの構築を目的とする.非線形空間光回路は,空間光変調素子より構成され,非線形光フィードバックシステムと呼ばれる.昨年度までに,非線形光フィードバックシステムにおいて,パターンのサイズと回折距離の特徴的な関係を実験的,理論的に見い出した.さらに,フーリエ面における空間周波数フィルタリングによる発生するパターンのピッチの選択が可能であることを示した.ローカットフィルタを挿入による孤立点の発生と,光軸にシフトによる,孤立点のドリフトを実証し,この手法用いた時空間画像の記憶や遅延を実行した.
今年度,非線形光フィードバックシステムは,多数の空間的な安定解を有し,それらの間の競争によって,パターンが時間的に揺らぐことを明らかにし,空間周波数フィルタによって,個々の安定解を選択できることとそのゆらぎを抑制できることを示した.また,電子システムとの接続性に優れ,非線形性,時間応答,空間写像を広い範囲で調節可能な光電子ハイブリッドなフィードバックシステムを構成した.そのシステムにおいて,時系列処理が途中の介在しているにもかかわらず,光フィードバックシステムと同様な空間特性を有する自発的パターン形成が起こることを明らかにした.さらに,光フィードバックシステムを光電子フィードバックシステムによって発生したダイナミックな光パターンにより制御する新しいシステムを構築し,ダイナミックな光パターンを発生した.さらに,光路をシフト量させると,発生するパターンが,シフト量に比例した速度で流れることを利用して,発生するパターンの速度から,フィードバック光学系に透明基板の角度を計測できることを示した.
|
