今年度は、研究実施計画に基づき、フォトリフラクティブポリマーを用いた(1)アンチ・ガイド構造のイメージング、(2)SHGによる光波閉じ込めの評価が行われた。テーマ(2)に対して行われた実験より、閉じ込め効果に基づくSH波パワーの増大率が評価されただけではなく、コア形成のための屈折率変化に対して新たなる機構が存在することが明らかにされた。フォトリフラクティブポリマーは、対向電極が配置された基板とカバーガラス間にスペーサーを介して挟み込まれた。ポリマーへの電界の印加は、ポーリングによってポッケルス効果やSH波発生を行わせる目的の他に、光チャージの発生・移動を促進させるために行われた。測定では、コア書き込みのためのポンプ光(λ=632.8nm)のパワーおよびビーム幅と、ポリマーへの印加電圧強度に対するSHパワーの変化が調べられた。SH波発生にはλ=1047nmを有する基本波が用いられた。その結果、屈折率変化は、2つの機構によって生じる事が明らかにされた。1つは、光チャージ発生に基づくフォトリフラクティブ効果であり、もう1つは、局所的な媒質の温度上昇による熱光学効果である。両者の寄与により、ポンプ光パワー120μW、ビーム幅80μmのとき、SH波の増大率に対して4倍程度の値が得られることが分かった。熱光学効果による屈折率変化は、比較的高速であり、かつ大きな変化を与え得ることから、より簡便な構造によるデバイス開発が期待できる点で注目される。テーマ(1)については、マッハツェンダー干渉計とSH波発生測定系を組み合わせた実験系の設計・構築が行われた。これにより、アンチ・ガイドのイメージングと閉じ込めの程度が同時に測定できると期待される。
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