研究概要 |
均衡問題は,社会現象を数理モデル化し,そのモデルを解析することによって社会の均衡状態を求める問題である.現在取り組んでいる研究は,均衡問題をより高速に解く手法の開発とその理論的実証である.当該年度の研究によって以下の成果が得られた. 1.均衡問題の一つである非線形相補性問題に対する近接点を提案し,そのアルゴリズムが、大域的収束することを示した.さらに,解における正則性の仮定なしに超1次収束することを示した.この結果が提案したアルゴリズムが,これまでに提案されているアルゴリズムよりも理論的に優れていることを示した. 2.非線形方程式の解法は,均衡問題を解く上で重要な役割を果たす.非線形方程式の解法として,Levenberg-Marquardt法を考え,その手法がこれまでにしられている正則性の仮定よりも緩い条件であるエラーバウンド性のもとで2次収束することを示した. 3.均衡問題を制約に含む均衡制約つき数理計画問題は,非線形計画法によって解くことが難しい問題である.そこで,組み合せ最適化問題の解法のひとつである分枝限定法を用いることによって,その問題の厳密解を得る手法を提案し,実際の数値実験によってその有用性を確かめた.
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