研究概要 |
ある事象を引き起こす例(正例)のデータ集合T⊆{0,1}^nと,引き起こさない例(負例)のデータ集合F⊆{0,1}^nの組である部分定義論理関数(T,F)が与えられたとき,なぜその事象が起こるのかということを説明する理論fを求める問題を考察した.正確に言うと,理論fとは,すべてのυ∈Tに対してf(υ)=1を満たし,かつ,すべてのυ∈Fに対してf(υ)=0を満たす論理関数(拡大)のことです.この問題は人工知能分野における知識獲得の一形式であり,データベース理論においてデータ発掘,及び,知識発見と呼ばれ,近年盛んに成りつつある分野である. 本年度は,まず与えられたデータが未知ビットを含んだ場合,どのような理論を作ることが望ましいかということを様々な尺度から議論し,その尺度に基づく理論構築のアルゴリズムを構成した[E.Boros, T.Ibaraki and K.Makino,Fully consistent extensions of partially defined Boolean functions with missing bits, IFIP TCS2000, LNCS 1872,(2000)257-272].また,与えられたデータを説明する本質的な変数(属性)を求めるアルゴリズム[E.Boros, T.Horiyama, T.Ibaraki, K.Makino and M.Yagiura, Finding essential attributes in binary data,IDEAL2000 LNCS 1983,(2000)133-138],および,変数間の分解構造を利用した理論構成アルゴリズムを提案した[H.Ono, K.Makino and T.Ibaraki, Logical analysis of data with decomposable structures, COCOON2000,LNCS 1858,(2000)396-406]. ホーン理論が複数与えられたとき,それらを利用してdeductionあるいは,abductionという推論を高速に行うために理論をどのように合成するか考察した.[T.Eiter, T,Ibaraki and K.Makino, On the Difference of Horn theories, Journal of Computer and System Sciences,61(2000)478-507など]. その他に,q-ホーン理論の関数従属性,決定リスト等の性質を明らかにした.
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