研究課題/領域番号 |
11750062
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
工学基礎
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
朝倉 浩一 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (30222574)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | キラル自動触媒系 / キラル対称性の破れ / 自己組織化 / ランダム / 動力学モデル / 過飽和状態 / 過冷却状態 / 自己集積 / 確率過程 |
研究概要 |
不斉コバルト錯体の合成反応及びビナフチルの結晶化においては、キラル自動触媒系により鏡像異性体の一方が自発的に優先生成することを、これまでに報告してきた。本年度は、この自動触媒機構をさらに詳細に検討すると共に、より高光学純度が発生するための条件の探索を行った。 コバルト錯体の合成反応においては、その速度論的解析の結果、生成物が高過飽和状態でクラスターを形成して自動触媒性が発現することが見い出されていた。そして、この結果に基づいた動力学モデルは、反応温度を低下させることで、自動触媒性が顕著に高まる過飽和度の実験的実現が容易であることを予測した。そこで、この実験的証明を試みたところ、25℃における20回の反応で、最大光学純度69%が達成された。勿論、本反応では、高次の自動触媒反応によるゆらぎの成長の結果、自発的に一方の異性体が生成するため、常に高光学純度で生成物が得られることはない。しかし、あらかじめ一方の異性体の結晶を反応系に添加すると、20回の実験中4回は、添加した異性体と同じ異性体が、光学純度40%以上で優先的に生成された。 ビナフチルの結晶化については、異なった過冷却状態にて無撹拌での実験を行い、その光学純度に対する影響についての検討を行った。その結果、低過冷却度の実験では生成物の光学純度はランダムにばらつくが、高過冷却度となるとほぽラセミ体に近い生成物しか得られなかった。そこで、系内に生成するそれぞれの結晶を途中で取り出し、その光学純度を測定したところ、低過冷却度の場合はどちらか一方の異性体を優先的に含むが、高過冷却度ではほぼラセミ体となることが認められた。しかし、この高過冷却度の条件でも、撹拌を行うことで一方の異性体が常に優先的に生成することから、生成するのは単結晶ではなく多結晶で、過冷却度が大きくなるにつれて両方の異性体の混合した多結晶になるものと考えられた。
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