研究概要 |
昨年度までの研究で,液晶パネルを基準板として用いることによって基準板の位相解析が全自動で従来より精度よく行えることを確認した.しかし,2枚の基準板の間に置かれた物体表面上の点の空間座標を求めると,レンズ収差によるゆがみの影響は現れないが,基準面の近傍と比較すると2枚の基準面間の中央付近では誤差が大きくなる.そこで本年度は,高精度化のための応用研究として,液晶板を連続的に移動させながらそれぞれの位置での位相値情報を記録し,ピントの影響を受けずに高精度に解析が行える方法を開発した.具体的には次の内容を行った. 1.基礎実験として,基準面間では基準面からの距離が離れるにしたがって誤差が大きくなることを確認する実験を行った. 2.複数の基準面を用いて空間座標を算出するアルゴリズムを開発した. 3.基準板を多数の位置に移動させて位相分布を求めるための自動処理ソフトウェアを開発した. 4.実際に実験を行い,誤差が低減することを確認した. 以上のことを行った結果,11カ所の位置で平面を計測した結果の誤差の平均値を36μmから8μmに減少することができた.これにより,本研究で考案したアルゴリズムが有効であることが確認できた. さらに,試料物体を回転させて数回計測し,端部を精度よく接続する手法について検討した.まず回転軸を精度よく求める必要があるため,角度のついた平面板を基準物体として複数の回転角において計測を行い,得られた形状データから回転軸を求めるアルゴリズムを考案した.
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