研究概要 |
Ni基超合金の超高サイクル(10^8回〜10^<10>回)における疲労強度におよぼす高温環境、微視組織および研削加工の影響を調べるため、室温と高温(500℃)下で超音波疲労試験(発振周波数=19.5KHz,応力比=-1,断続方式)を行った。また,比較のため、室温と高温(500℃)下で10^8回までの回転曲げ疲労試験をも行った。 得られた結果はまとめると以下のようになる。 1.超音波疲労試験と回転曲げ疲労試験の結果から明らかであるように,いずれの温度においても,試験法による疲労寿命およびき裂伝ぱ速度の相違はほとんど認めなかった。すなわち,本研究において超音波疲労試験におけるひずみ速度の影響は小さいことがわかる。したがって,超音波疲労試験法の有効性が認められる。 2.本合金の場合,低サイクル域では疲労強度は室温より高温の方が低く,10^6回以上の高サイクル域になると逆に疲労強度は室温より高温の方が高い。 3.超高サイクル域での疲労限度は,10^7回でのそれとはほとんど変わらなかった室温の結果に対して高温の場合10^7回での疲労限度よりはるかに低下している。その原因は疲労破壊メカニズムの違いにある。すなわち,高温の場合,低・高サイクル域ではき裂がすべり帯から発生しており,超高サイクル域になるとき裂が粒界から発生している。 4.超高サイクル域では,CBN研削加工により生じた硬い加工変質層や圧縮残留応力のため,室温での疲労強度はかなり上昇したのに対して高温での疲労強度はあまり影響受けなかったかむしろ加工傷によりき裂の発生がやや早まり、その結果疲労強度は若干低下した。 5.本実験の範囲では,室温と高温のいずれの場合においても材料内部の欠陥や介在物に起因する内部破壊が起こった跡は観察されなかった。
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