研究概要 |
本年度はMQLを適用した小径ボールエンドミルによる鋼(S45C)の高速切削実験,および高速切削時の工具温度に着目した有限要素解析を行った. 1.S45Cをボールエンドミルで切削し,切削力,仕上面の機械的特性(あらさ,硬度,残留応力),仕上げ面性状の観察,工具摩耗の推移を測定した.その結果,残留応力が圧縮で硬度が高い加工面とするには,オイルミストを供給し工具傾斜角度を小さくする条件で加工するのが良いことが明らかになった.逆に工具傾斜角度を大きく設定する加工は加工変質層を小さくしたい加工に向く.高速加工においても完全ドライあるいは切削油剤の使用をできるだけ抑えた加工の普及が望まれるが,要求される加工面の機械的特性の応じてMQLや加工条件をうまく選定することが必要である. 2.高速かつ断続切削におけるエンドミル内の温度を解析する手法を開発した.2枚刃エンドミルを忠実にモデル化し切れ刃部に断続的に熱流量を与えることにより断続切削を模擬した.その結果,断続切削の工具刃先近傍では、急激な温度上昇と下降を繰り返していること,1刃当たりの送り量と半径方向切り込み量は、工具温度に大きく影響しており、切削能率を同一とした場合には、半径方向切り込み量が小さくすれば工具温度が低く抑えられること,切削能率を同一とした場合には、低切削速度よりも高切削速度の方が工具温度が低くなることなどが,解析的に明かとになった.
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