研究概要 |
本研究では,まず,考慮すべき要求項目と保証すべき品質水準の基づいて,検査の対象となり得る品質特性を抽出する方法を構築した.これは,品質機能展開(QFD)の基本的概念を応用することによって,考慮すべき要求項目を具体的な製品の品質特性に,さらに,必要に応じて,それを下位の代用特性に,ツリー状に順次展開していくものである.次に,確率論を応用した知識表現方法である信念ネットワークを拡張することによって,上で得られた複数の品質特性間の定性的な関係および定量的な関係を表現する基本的なモデルを開発した.これは,個々の品質特性をノードとし,各品質特性が他のどの品質特性から影響を受けているかを有向アークで表したものである.各ノードは,良・不良の2値,あるいは,異なる複数の不良モードを考慮したい場合には三つ以上の離散値を取り,ノード間の関係を定量的に把握するために,個々のノードは,当該ノードに影響を与える親ノードの品質特性値に関する条件付き確率の表を持っている.続いて,この品質特性間の関係モデルの条件付き確率パラメータを実験データや観測データに基づいて学習していくアルゴリズムの開発,および,生産システム設計が与えられたとの仮定のもとで,当該学習アルゴリズムによって獲得した品質特性間の具体的な関係モデルを利用して検査戦略を策定するアルゴリズムの展開,をそれぞれ行う予定であるが,これらについては現在進行中である.
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