研究概要 |
火炎解の存在領域を調べる通常の消炎解析に加えて,火炎解の安定性解析を広い範囲で実施した。これによって,定常解が存在しなくなることによって起こる消炎現象だけではなく,定常解は存在するが,解自体が不安定化することによっても消炎が起こりうることを示す目的で研究を行った。 実験によって観察された火炎の摂動現象および消炎挙動を詳細に観察し,この結果と素反応数値計算の結果を比較した。火炎の定常解を求めるにあたってはすでに実績のある素反応数値計算コードを用い,安定性解析については新たに開発した非定常コードを用いた。あらかじめ定常解の得られている領域に対して温度の擾乱を与え,火炎の応答を時間的に追跡する手法で安定性解析を行った.実験にはメタン・空気予混合火炎(ルイス数約1)およびプロパン・空気予混合火炎(ルイス数約1.8)を用いた。 高ルイス数における対向流双子火炎の実験で観察された消炎挙動は,火炎の定常解の存在する範囲でおこり,火炎解が不安定化することによって起こったことを示唆した。この件については数値計算による安定解析が必要であるが,素反応数値計算が膨大であるため,現在は懸案となっている。 このほか,安定性解析によって数値的に得られた火炎の振動現象は,実験によって得られたメタン・空気予混合双子火炎の振動現象と非常に良く一致した。また,数値的にも火炎のリミットサイクル様の応答が見られ,火炎の定常的な摂動現象と非常に良く一致した。 火炎のカオスへの遷移は未確認であるが,数値計算結果に種々の不安定現象がみられ,今後,詳細な研究が必要である。
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