研究概要 |
スワールタイプインジェクタは低圧でも微粒化特性が良く,雰囲気圧により噴霧角度が変わることから,燃焼機関で広く用いられている.しかしその噴霧特性は明らかではなく,その解析を行うためにはノズル内部での二相流を解析する必要があった.そこで申請者はVOF法を用いてノズル内部の流れを解析し,実験結果との比較から,液膜の厚さ,噴霧角度などを定量的に予測可能であることを示した. 次いで,噴霧による混合気形成過程を予測するため,一般に用いられているDDM法をベースに,VOF法で得られた結果を初期条件として与えて計算を行った.実験結果との比較から,比較的噴射圧力が低い場合はペネトレーションや噴霧角度,噴霧形状などを定量的に予測することができた.よって,従来までの経験式を使った初期条件では不十分であることが分かった.また,DDM法による計算の初期値として実験を行わなくても,VOF法により初期値を与えることができ,開発時間の大幅な短縮につながることを示した.一方,噴射圧力が高い場合や,雰囲気圧力が高い場合は,定性的にも予測することができなかった.特にペネトレーションや噴霧形状の相違が大きくなった.これは,液滴の分裂モデルによるところが大きいと考えられ,今後,この点について詳細な実験と,モデルの改良が必要であると考えられる.
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