研究概要 |
セルフセンシング・アクチュエータ(SSA)は,圧電アクチュエータにおける圧電効果を積極的に利用することにより,これにセンサの機能を付与するテクニックである.本研究では,柱の基礎部分に積層型圧電アクチュエータを埋設した骨組構造物を対象として,これをSSAとして機能させることにより,構造物に発生する振動の抑制を試みた. 11年度では1本柱の構造(梁)に対して検討を加え,以下の知見を得た. (1)圧電素子から得られるセンサ電圧は梁の振動速度にほぼ比例した信号となる (2)センサ電圧を利用した速度フィードバックにより梁の振動が効果的に抑制される (3)梁先端の振動を測定するレーザ変位計の信号をフィードバックする非共配置制御系による制振制御に対して,セルフセンシング共配置制振系の優位性を確認した 12年度では,より剛性の大きな構造物に対して同様の検討を加える予定であったが,SSAの実現において要となるブリッジ回路のバランス調整に関して有効な手法が提案できたため,この手法の確立を優先的に検討し,以下の知見を得た. (1)ブリッジ回路の上下端を短絡し,アクチューエション(制御)用の電圧をかけずに外乱振動させたときの圧電素子側の端子電圧は,理想的なセンサ電圧を提供する (2)制御電圧をかける場合には,センサ電圧が上記(1)における端子電圧と等しくなるように回路のパラメータ調整を行えば,ブリッジバランスが確保できる 上記の成果を踏まえて今後はより剛性の大きな構造物を対象として研究を進めたい。
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