研究概要 |
1.生理学・解剖学に基づいた学習機能を持つ眼球運動制御システムのモデルを構築し,このモデルを基にした双眼視軸調節装置を製作した.研究成果は以下の4つである. (1)単眼眼球運動モデルを両眼運動に拡張し,水平運動のみで考えた現在のモデルを3自由度運動を表現できるように拡張した.すなわち,生物の眼球運動に見られる衝動性,滑動性,視機性,輻輳性など主な眼球運動を正確に実現できるような眼球運動制御システムを統合的に構築した. (2)回転頭部運動のみで考えたモデルを並進運動をも表現できるように拡張した. (3)両眼前庭動眼反射モデルを構築し,眼球の運動神経関連の疾患の理論的局在診断法を提案した.この研究により,これまで,生理学実験で確かめられていない眼球運動の特性,例えば,頭部回転速度が前庭動眼反射に与える影響や疾患部位と両眼の協調性との関係などを明らかにした. (4)両眼の運動機能により近い特性をもつ前庭器機能を備えた両眼視軸調節装置を製作した. 2.Hodgkin-Huxleyモデルと異なる神経細胞の電気的等価回路を構築し,この等価回路を用いて静止膜電位を理論的に求める方程式を得た.この方程式に基づいた数理的解析の結果から環境温度が一定の条件のもとで細胞の静止膜電位は,(1)細胞外液の透過性イオンの濃度,(2)細胞内不透過性陰イオンの濃度,(3)イオンポンプのイオン輸送能力およびイオンポンプをもつ当該イオンに対する受動輸送時の膜の抵抗によって決定されることがわかった. 3.画像の操作や加工における一層の臨場感向上を目指したフォースディスプレイ・システムを開発した。開発したシステムは力覚および動作を確認できる入力装置(遠隔操作型のハサミ型デバイス)を用い,これと連動する仮想ハサミと被切離仮想物体を完全立体視できるように画像合成できる.
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