研究概要 |
本研究では,PLZT素子(Pb-La-Zr-Ti)を用いて,光によるエネルギー並びに信号の伝達機構の開発に関して研究を行っているPLZT素子は,焦電効果と光圧電効果を持つ機能性材料である.焦電効果は,温度変化に依存して電荷を発生する現象で,光圧電効果は特定波長の光の照射に対して電荷を発生する現象である.PLZT素子の場合は,365nmの波長の紫外光に対して光圧電効果を示す. 本年度は,これまでの実験の結果を基に抽出したパラメータを基にしたエネルギー変換モデルの再構築およびシステムの構成の修正を行った.これまで提案していたシステムでは赤外線による焦電効果を用いてエネルギーを,紫外線による光圧電効果により信号を伝達するシステムの構築を行っていたが,信号の伝送レートなどを考え,エネルギーを光圧電効果により,信号を焦電効果により伝達するシステムへ変更した.伝達されるエネルギー量は減少したが,シミュレーションにおいて,信号の伝達レートが1kHz程度まであげることができると結果が出ている.本システムにおいて,実験により基本特性を確認し,素子のみを評価するシステムではなく,エネルギーのバッファをもつ電子回路としてのシステム化を行った.キャパシタンスによる電荷のチャージにより電圧の安定化が可能となったが,信号の分離において,平滑化が起こっているため,今後は,エネルギーと信号の明確な分離技術の開発が課題である.
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