研究概要 |
門型三次元座標測定機を考えた場合,構造上Y軸の上にX軸,その上にZ軸がのった構造がとられる.Z軸方向のプローブの運動は,振動等の影響はあるものの簡単な現象である.今年度は,Z軸がX軸方向に運動したときのZ軸自身のたわみやZ軸のX軸に対する傾斜を測定する装置を作成した.この装置は,リニアアクチュエータを三次元座標測定機のX軸とみなし,リニアアクチュエータにZ軸を取り付けた構造をしている.Z軸の移動速度は実際の三次元座標測定機においてよく使われている10〜70mm/sとした.この時,Z軸のリニアアクチュエータに対する取り付け位置にリニアスケールを取り付け,リニアアクチュエータから得られる位置情報以外に,直接Z軸のX軸上での位置を知ることができるようにした.また,Z軸運動時のZ軸のたわみやZ軸のX軸に対する傾斜を測定するために,Z軸先端のプローブ位置と,リニアアクチュエータから少し離れた位置に2本のリニアスケールを平行に配置した.これら3本のリニアスケールによって,Z軸運動時のZ軸のたわみ,傾斜が測定できる. Z軸とX軸の接合部の剛性やバネ定数を変更することによって,さまざまな振動モードを持つ三次元座標測定機を実現できる.三次元座標測定機においては,理想的にはZ軸先端のプローブの位置が正確に測定できればよいが,実際には,駆動軸(X軸)上で位置が測定されている.したがって,駆動軸における測定変位からプローブの実際の位置を推定するとともに測定の不確かさを推定することが重要である. 本研究では,X軸方向の走行時のスケールとプローブ位置との差を用いてシステムパラメータを推定し,X軸スケールからプローブ位置の推定とその不確かさを求めた.
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