研究概要 |
本年度は,本研究を通して確立された「中性点電位の変動に着目したブリッジ形多レグ電力変換器の拡張一般化理論」より自動的に導出され,入出力同一周波数下において1レグ共通形電力変換回路の特長を十分に活かせる1レグ共通形単相/三相および三相/三相電力変換器の試作を行い,レグ非共通形回路と比較検討した。制御については,両電力変換器とも同様の制御手法を採用している。コンバータ制御については入力力率向上と入力電流正弦波,DC電圧一定を実現するため振幅変調を施した入力電流追従制御方式を採用した。また,インバータにおいては負荷の変動においても安定した出力電圧を維持できるよう出力線間電圧追従制御を採用した。これより,両電力変換器とも以下の実験結果が得られ,これらはシミュレーションによっても確認された。 1 コンバータ制御により入力電流は正弦波状に制御され,入力力率99%以上,DC電圧変動率1%以下を達成することができた。 2 インバータ制御により出力線間電圧は正弦波状に制御され,出力電圧総合歪み率1.7%以下,負荷変動における出力線間電圧変動率1%以下を達成することができた。 3 試作した1レグ共通形電力変換器の効率は,レグ非共通形電力変換器と比較して2〜4%向上することを確認することができた。 以上の結果から,中性点電位に着目した拡張一般化理論は実験からもその妥当性を確認できた。また,拡張一般化理論より得られたレグ共通形回路の効率的有効性を実証することができ,本研究の基本的目的を達成できた。
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