研究概要 |
近年の計算機技術および制御技術の向上により,ロボットマニピュレータを利用した生産システムの性能は飛躍的に向上した.このようなロボットは,自動車の生産ラインに見られる塗装作業等の繰り返し動作には適するが,環境変動に適宜適応することはできないため,変種変量生産を目的としたシステムへの適用は非常に困難となっている.これは,産業用ロボット自身の自由度が低いため複雑な動作の実現が困難なことに起因する.同問題点を克服するため,従来から自由度を増やすための様々な試みがなされている.そこで,本研究課題では多岐分岐型の冗長マニピュレーションシステムを構築し,その統合制御系の実現を目的とする.これにより,制御系の簡略化が容易となり,機構的な制約に依存しにくい柔軟な多自由度システムの構築が期待できる. 平成12年度では,上記目的達成のため平成11年度に構築した多岐分岐マニピュレーションシステムの統合制御アルゴリズムを実機実験に適用した.基本的には,異種センサ情報の統合的フィードバックと制御系構成アルゴリズムを確立し,センサ情報を含めた多岐分岐マニピュレーションシステム(移動マニピュレータ)の統合制御系の構成と位置制御実験を行った.位置制御実験では移動マニピュレータと人間との協調動作を目的とし,多岐分岐構成となっている移動マニピュレータのインピーダンス設定アルゴリズムを統合制御系へ組み入れている.また,提案した統合制御系により,人間からの外部入力を所望とするインピーダンス設定に応じてなめらかに反映できることを確認している.
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