研究概要 |
かご形誘導電動機(以下,IMと略記)は,産業動力用のみならず家電機器用としても広範囲に多数用いられており,近年の環境改善の見地から,より低騒音のIMが強く望まれている。本研究は,IMそのものの構造に起因して生じる,電磁騒音の原因となる電磁振動を解明しようとするものである。 当該研究期間においては,主として,コンデンサモータ(以下,CRMと略記)の負荷時電磁振動について詳細な実験を行うとともに理論的検討を行った。また,CRMの負荷時電磁振動の特徴を明らかにするために,三相IMの電磁振動発生状況との比較検討を行った。その結果,CRMの負荷時電磁振動は,その大きさおよびその発生周波数は運転コンデンサ容量および負荷状態に著しく影響を受けること,主として,固定子および回転子スロットの存在によるスロット高調波,および磁気飽和に起因して生じていることを明らかにした。すなわち,CRMの顕著な電磁振動成分は,正相分磁界のみならず逆相分磁界によっても生じており,その特徴は(1)三相IMの場合と同様に,無負荷時では顕著とならないが負荷時に顕著となる振動成分,(2)無負荷時にも顕著であり,負荷の増加と共にさらに顕著となる振動成分,(3)無負荷時に顕著であるが,負荷の増加とともに減少する振動成分,(4)磁気飽和に起因して前記(1)〜(3)とは特徴の異なる振動成分,の4種類に大別できることを明らかにした。さらに,固定子と回転子とのスロット数組合せに対するCRMの負荷時電磁振動の特徴について実験的に検討を行った。その結果,回転子スロット数が極対数の倍数となる場合には特に顕著な電磁振動を生じない傾向にあること,極数の倍数となる場合には顕著な電磁振動を生じない傾向にあること,スロット数組合せにより負荷が増加すると単純には電磁振動が増加しないことなどを理論的かつ実験的に明らかにした。これらの研究成果は,次ページの研究報告に示したように,逐次電気学会で発表した。
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