研究概要 |
本研究では,ミリ波用低損失材料を正確にかつ能率的に評価するための測定システムを構築した。ミリ波専用の新しい測定技術としてウイスパリングギャラリモード共振器法を提案した昨年度の研究に引き続き、最終年度となる本年は、ミリ波材料の-60℃から+60℃にわたる温度特性を評価するための諸検討に取り組んだ。 まず,内部に測定用共振器等を組み込んだ実験用恒温槽を製作し,自動測定のための計測ソフトウエアを開発して,計算機制御による温度特性測定システムを構築した。 特に、測定用共振器の励振構造に計算機制御された自動調整機構を設けることにより、温度変化以外の測定条件を常に一定に保つことに成功した。これにより、測定温度範囲にわたり、かつ広周波数帯域にわたり、材料のミリ波特性を正確に取得した。 また、種々誘電体試料の線膨張係数の測定を詳細に行い、これを用いて温度による試料寸法の変化を考慮し、各温度毎の比誘電率、誘電正接を算定した。 2年間にわたる研究成果として、これまで適切な方法が見当たらなかった,100GHz帯付近のミリ波周波数帯における低損失誘電体材料の特性評価が,比較的簡便に実行できるようになったことがあげられる。実際に、得られた測定結果は、ミリ波用誘電体材料のさらなる開発を促進するための有用な情報として、国内の材料メーカに提供されている。
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