研究課題/領域番号 |
11750266
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
木村 英樹 東海大学, 工学部, 講師 (20276778)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | ダイヤモンドライクカーボン膜 / 電界放出 / ダイヤモンド薄膜 / 液相合成 / フィールドエミッタアレイ / FED / アモルファスカーボン膜 |
研究概要 |
電界放出型ディスプレイ(FED)の電子放出源を得るために、前年度に引き続いてダイヤモンドライクカーボンの液相合成およびダイヤモンド膜のCVD合成の2つを試みた。 クールスターラーに設置したセパラフラスコ内に原料となるメタノールを入れ、陽極にカーボン電極、負極に堆積用の基板を設置した。この状態で、メタノール温度を50℃一定とし、0.5〜3kVの範囲において高電圧電源を用いて電圧を印加した。原料となるエタノールを電気分解することで、基板上へのダイヤモンドライクカーボンの液相合成を繰り返し試みた。基板には、シリコン上にスパッタで堆積したチタン膜、電子ビーム蒸着によるモリブデン膜、抵抗加熱法によるニッケル膜、アルミ膜の4種類を使用した。成膜された試料についてラマン分光分析を行ったところ、チタン膜上に堆積した炭素膜から、1350cm^<-1>と1580cm^<-1>なブロードなピークが観測された。これはダイヤモンドライクカーボン特有のパターンに近いものであった。この結果から、本研究の目的である液層合成によるダイヤモンドライクカーボンの成膜がほぼ達成できたと言える。この膜に電界を印加して電子放出特性を調べたところ、約3〜7V/μmという低電界から電界放出が再現性よく始まることを確認した。この値はダイヤモンド薄膜からの電界放出と同等という優れた特性であり、さらに大面積化と低製造コスト化が可能な成膜方法であることからダイヤモンドライクカーボン膜に優位性があると考えられる。 一方、近年ダイヤモンドに硫黄をイオン注入することでn型の電気伝導性を示す報告に触発されて以来、硫化水素を原料ガスとして添加したCVDダイヤモンドの成膜が試みられている。硫化水素は強い毒性を持つことから、本研究では比較的毒性の低い硫黄を含む有機系溶媒を使用してn型ダイヤモンドの成膜を試みた。成膜されたダイヤモンドの電気伝導性はほぼ真性すなわち高抵抗な膜となり、明らかにn型の伝導性を示すものは得られなかった。電界放出についてはアンドープダイヤモンドに近いものであり、前年度研究を行った窒素ドープダイヤモンドよりも特性は悪いものであった。ただし、ドープ量を多くすることで窒素ドープのものよりも良好な電界放出特性が得られる兆候も見られたことから、引き続き実験を行う必要性があると考えられる。
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