研究概要 |
近年,医療,美術等の分野で,超高精細静止画像符号化の必要性が大きくなってきている.超高精細静止画像のファイル容量は現在インターネット上で伝送されている通常の画像に比べて非常に大きく,なおかつ,医療,美術等の分野では画像圧縮による劣化が許されない場合が多いために,特別な取り扱いが必要になる.つまり,静止画像の標準方式であるJPEGのような再生画像に劣化が生じる符号化方式(ロッシー符号化,これに対して,劣化が生じない符号化方式をロスレス符号化という.)を用いることはできず,さらに,符号化されたデータの一部を取り出して,様々な品質及び解像度で再生できる機能(スケーラビリティ機能)が必要になる.そこで,本研究では,対象画像を超高精細静止画像までに拡張した,スケーラビリティ機能を有するロスレス符号化方式,「超高精細静止画像のロスレス・ロッシー統一符号化システム」の構築を目的としている. 本年度は、JPEGやMPEGとの互換性を有するのでロスレス・ロッシー統一符号化において重要な役割を果たすと期待されているロスレスDCTについて主に研究を行った.画像信号をロスレスDCTの入力信号としたときの変換係数と対応するロッシーDCTの変換係数との差が大きいこと,つまりロッシーDCTとの互換性が低いことが問題となっていた.そこで,乗算なし4点ロスレスアダマール変換に基づいた2次元ロスレスDCTを設計し,ロスレスDCTを構成するラダー回路の丸め器数が1次元ロスレスDCTを用いた場合よりも小さくなり,その変換係数の差が小さくなることを示した.また,2次元ロスレスWHTを設計し,ロッシーWHTとの互換性が高くなること,乗算器数が0になることを示した.
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