研究概要 |
本研究では,理論生物学の分野で提案されている単層細胞膜における形態因子と平均曲率の変換規則に基づき,形態因子とポリゴン曲面の形状の離散的な計算法を用いた相互変換機構を考案し,曲面形状を設計するシステムを構築した. 研究期間の一年目は,与えられた曲面形状から抽出した形態因子を用いて形状を合成および変調する機構を開発した成果を,国内の学会「Visual ComputingグラフィクスとCAD合同シンポジウム'99」において口頭発表した.また,形態因子に基づく形状の制御機構を,幾何学的な属性値を与えて形状を自動生成する属性モデリング(または,behavior modeling)に応用する方法を考案し,その成果を国内の学会「情報処理学会第59回全国大会」で口頭発表した.さらに,形態因子の反応-拡散システムを用いて形状を自動的に生成するモデルを考案し,成果を国際会議「First Iteration'99」において口頭発表した. 研究期間の二年目は,開発した属性モデリングの機構に,進化論的な探索アルゴリズムに基づく形状の最適化手法を組み込み,その成果を電子情報通信学会論文誌で発表した.また,本手法で用いた正則化の拘束条件を用いて,分布関数曲面を効率よく再分割曲面に変換する手法を考案し,成果を国内の学会「情報処理学会第61回全国大会」で口頭発表した. 今後の予定としては,本手法による曲面形状の生成機構を拡張し,既存のCADシステムで用いられているB-スプライン曲面や再分割曲面等を扱えるようにし,曲面形状の実時間での生成を可能にするための計算機構の改良等が挙げられる.また,電子情報通信学会論文誌で発表した記事内容が,論文誌「Electronics and Communications in Japan」に英訳される予定である.
|