研究概要 |
動画像から対象の三次元形状モデルを求めることはコンピュータビジョンの重要な課題の一つであり,多くの方法が提案されている。理論的にはこれらの方法は完全であるが,これらはノイズに非常に敏感であることが知られている。その結果,実画像を使った実際の状況ではなかなか有用な結果が得られない。 また,近年因子分解法という方法がTomasiとKanadeによって提案され,注目を集めている。この方法は最初正射影について提案され,後に中心射影の近似である疑似中心射影(paraperspective projection)に対して拡張された。しかし,状況がカメラの近似モデルに対して合っていない場合やカメラの動きが小さい場合には,依然としてノイズに関する問題は残っている。 そこで我々は前年度の研究で,ジャイロセンサから得られる3軸の角速度情報を使って画像を補うことによる,より精度の高い復元方法を提案した。ジャイロセンサは環境に対するセッティングを一切行なわなくても使え,また,コンパクトなので,どこでも持ち運べるセンシングシステムを作ることが可能である。 本年度の研究ではさらにジャイロセンサから得られる3軸の加速度情報を使うことによって対象のスケールを求める方法を研究した。原理的には加速度を2回積分すればカメラの移動距離が求められ,それを基準にして対象のスケールも求まるが,積分の初期値が不明であり,また,ドリフトの問題も生じる。そこで速度の微小時間内での変化分を画像から求まる値とジャイロセンサから求まる値を比較することによりスケールを求める方法を提案した。
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