研究概要 |
都市機能の増強,維持・管理のためには絶えず大量の資材が投入され,これらは都市インフラストラクチャーとして膨大な量が蓄積されている.その結果として,様々なサービスが発生する一方,今後,土木・建築物のストックの老朽化とともに廃棄物発生量の増大が予想される.そのため,投入量(フロー)とそれに伴うサービスの増加を比較し,ストックの増加を適切な量に抑えることは,廃棄物の発生を抑制することにもつながり,持続可能な都市システムを構築するために重要である.本研究では,(1)市域レベルにおけるエネルギー消費/マテリアルストックをGISを用いて推計し,(2)都市構造物整備に伴い発生するサービスとの比較することで評価を行った.比較にあたっては,MIPS(Material Input Per unit of Service)概念を応用し,マテリアルストックと都市構造物が発生するサービスを時系列で比較し評価を行った. さらに,都市のマテリアルストックに着目し,全国都道府県および政令指定都市における都市構造物によるストックを時系列に推計し,それぞれの都市におけるストック増加の特性を定量化した.具体的には,各都道府県および政令指定都市の統計書より,都市構造物に関するデータを時系列に整理し,そのデータを元に各都市のマテリアルストックを推計した.その際,建築物のストックを統計で把握できない都市に関しては,ワイブル分布を用いて,マテリアルストックの推計を行った.次に,都道府県を対象に,クラスター分析により都市の類型化を行い,類型ごとの都市構造物のストック量と県民総生産の特性を定量化し,全国都道府県および政令指定都市の建築物・道路を対象としたマテリアルストックの集積量が明らかになった.さらに,都市構造物のストック量の伸びと総生産の伸びとを比較することで,各都市の環境効率について考察を行った.
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