研究概要 |
昨年度に全国的に気温は上昇傾向にあること,また降水量は減少傾向にあることが分かった.また,東海地方の気温については,1940年頃を境に気温上昇の程度は変化しており,最近になって上昇の程度が激しくなっていることが示された. 今年度はそれを受け降水量と気温の時間的,空間的ばらつきの経年変化について調べた。空間的なばらつきはわが国の気象官署(降水量で42箇所,気温で47箇所)を全国および9つの地方に分けて,1900〜1997年の各年の年および1,4,7,11月のデータを対象に分散と変動係数を求めてそれらの経年変化を調べた。時間的なばらつきは,東京,名古屋,岐阜の3地点を対象にデータ期間を5,10,20年として各期間ごとに分散と変動係数を求め,移動平均の要領で対象期間を移動させることで経年変化を検証した。 年降水量の場合,変動係数で10地方中8地方で増加傾向であり空間的なばらつきが大きくなっていることが示唆された。また,1,4,7,11月降水量のいずれもばらつきが増えている地方が大半を占めた。時間的なばらつきについては3地点いずれも7月を除き降水量のばらつきが経年的にみて増加していた。 一方,気温については年,4,7,10月の平均気温のいずれも空間的なばらつきが増加している地域が多かった。しかし増加傾向の地方の数は降水量ほどでは無く,1月の平均気温はばらつきが減少している地方の方が多かった。時間的なばらつきについては3地点とも全てのデータ期間では1月を除きばらつきが増加傾向であった。 結果を要約すると,降水量は経年的にみて空間的,時間的ばらつきが大きくなってきており変動が激しくなってきている可能性がある。気温については時間的なばらつきは大きくなってきているものの空間的なばらつきは減少傾向であり,全国的にみて一様に温暖化していると思われる。
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