沖縄では現在、戸建住宅の殆どが鉄筋コンクリート造で建設されている。本研究は、地域経済の基幹産業の一つである住宅産業の中の地域工務店を対象として、より環境負荷の少ない木造住宅生産の実態と可能性を明らかにすることを目的としている。 建築着工統計・事業所統計・住宅金融公庫資料などにより統計資料を収集し、地域工務店及び設計事務所を対象としてアンケート・ヒアリング調査を行った。統計的には現在の木造住宅着工件数は極めて少数であるが、増加の傾向にあることが分かった。しかし、これは沖縄県外のメーカーを含む施工業者によるものが殆どで、地元の地域工務店はその役割を担っていない。だが、ヒアリングからは木造住宅を取り扱っていない工務店からも発展的な意見が数多く出され、木造住宅に対して意欲的姿勢を持っていることが明らかになった。ここで問題となったのは木造技術を持った職人の不在である。職人育成のためには制度の確立と各種行政・研究機関のサポートが望まれる。特に宮崎県・熊本県などは県レベルで木造を振興しており、沖縄県内にも幾つかの拠点がある。今後は比較的隣県である両県などと技術的、生産的レベルで協働していくことも考えられる。 木造住宅建築資材の使用・生産・流通調査では、各事業者毎に大きく異なっている。比較的近い鹿児島から青森まで木材種によって広く分布している。流通価格に関しては、本土地域と大きくは異ならない。海運費用よりむしろ港・施工現場運搬費用が負担になっていることが明らかになった。 このように、職人育成、木材運搬などの問題を解決し、また制度的な側面から検討を加えれば沖縄地域には木造住宅の可能性が大きく存在することが明らかになった。
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