研究概要 |
本課題2年目の今年度は計画に従い,前年度で整理されたデータを基とし,更にネパールをはじめとする周辺の歴史的な王宮建築に視野を広げて,インド建築としての特徴を考察するとともに,これまでの研究対象である宗教建築の特徴との関連について考察することを目標とし,具体的には以下の2つの項目について実施した。 1)インド周辺地域の宮殿建築およびインド・イスラム宮殿の特徴を把握:インドの宮殿建築と比較考察する上で必要なネパール及びインド・イスラーム宮殿のデータを,国内においては文献調査及び東洋文化研究所の「中東の都市空間と建築文化」研究会に参加・研究発表を通して,国内外のイスラーム建築研究者と意見交換を通して収集した。海外実地調査は平成12年12月26日〜平成13年1月10日にかけてネパール及びインドで行い,ネパールの王宮(カトマンズ,パタン,バクタプル),インド・イスラームの宮殿(アーグラ,ファテープル・シークリー)に関する情報を収集し,分析した。さらにネパールについては国内の各研究者との意見交換を行い,両者のデザイン上の関係を把握した。 2)宗教建築のデザインとの比較を通してのインド宮殿建築の形態の位置づけ:入口や柱頭装飾などの特徴を整理し,寺院建築をはじめとするインドの伝統的な建築との比較を通して検討した。 なお,残存する遺構のうち最も古いものの一つであるグワーリオール宮殿の空間形態の特徴把握について前年度得た図面データや調査結果を加え,2000年度日本建築学会関東支部研究発表会にて報告した。
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