研究課題/領域番号 |
11750565
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
永井 康介 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10302209)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 陽電子消滅法 / 耐熱性フェライト鋼 / クリープ破断 / 同時計数ドップラー広がり法 |
研究概要 |
陽電子消滅法、特に陽電子消滅同時計数ドップラー広がり法と陽電子寿命法を組み合わせて用いることにより、耐熱性フェライト鋼の非破壊検査法の開発を目指し、かつそのメカニズムに迫ることが本研究の目的である。 今年度は、改良9Cr1Mo鋼について、前年度に行った同時計数ドップラー広がり測定に加えて、陽電子寿命測定も行った。その結果、650℃のクリープ試料中の陽電子寿命は、バルクFeにおける陽電子寿命よりも長く、陽電子の格子欠陥への捕獲が観測された。また、格子欠陥に対応する寿命成分の寿命値は、200ps程度以下であった。これは、650℃のクリープによっては3個程度以上の空孔クラスターは生成されないことを示している。また、クリープの進行に応じて陽電子平均寿命は若干短くなったが、同時計数ドップラー広がりスペクトルに比べて大きな変化は見られなかった。このことは、同時計数ドップラー広がり法の敏感性を示している。 熱時効とクリープの比較も行った。同時計数ドップラー広がりスペクトルのS-Wパラメータ相関を調べた結果、熱時効では700℃の高温まで変化がなかったのに対して、クリープでは650℃で大きく変化し(S-低下、W-増加)、S-W曲線は、ほぼ1つの直線になった。このことは、クリープによる転位密度の変化(密度の減少)に良く対応していると思われる。 クリープ温度依存性についても調べた。その結果、650℃では欠陥密度が低下して破断するのに対して、500℃では逆に増加して破断することがわかった。また、欠陥密度は、破断面からの距離に関して強く依存し、破断面近傍で欠陥密度が急激に増加することも明らかになった。これは、材料のどの部分が破断するのかを予測する上で、陽電子消滅法は非常に有効であることを示唆している。 以上のように、陽電子消滅法は耐熱性フェライト鋼の非破壊検査法として有望であることが確認された。
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