研究課題/領域番号 |
11750575
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
板倉 賢 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (20203078)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 高圧 / X線吸収スペクトル / ダイヤモンドアンビルセル / 価数揺動 / セリウム合金 / f電子系 / X線吸収端近傍構造 / 放射光 / 4f電子転移 |
研究概要 |
高圧下での合金相中のCeの4f電子状態を解析するために、著者らが考案した「非対称ペア型ダイヤモンドアンビルセル(DAC)」で加圧した試料からCe-L_<III>殻のX線吸収端近傍構造(XANES)スペクトルを測定する技法を開発した。今年度は圧力セルの改良等を行うことで、より高精度の高圧XANESスペクトルが得られるようになった。この方法を用いて、Ce_3Al合金の低温相(α-Ce_3Al相)と高温相(β-Ce_3Al相)について詳細な高圧XANES測定を行った。その結果、両相共にいずれの圧力下のスペクトルにおいても明確なCe^<4+>のピークは観測されなかった。しかしながら、Ce^<3+>に対応するピークは圧力増加と共に、α-Ce_3Al相では徐々にシャープになり、逆にβ-Ce_3Al相では徐々にブロードになって、ピークの非対称性が変化することが明らかとなった。 一方、高圧電気抵抗測定の結果では、室温での比抵抗値は圧力と共に、α-Ce_3Al相では下に凸の滑らかな曲線を描いて減少するのに対し、β-Ce_3Al相では約5GPaまで圧力と共に増加していくことがわかった。また、電気抵抗の温度係数は圧力によって、α-Ce_3Al相ではわずかに小さくなるのに対し、β-Ce_3Al相ではわずかの加圧で負の温度係数をもつ領域が現れ、非常に顕著な高密度近藤効果を示すようになることが判明した。 以上のように、α-Ce_3Al相とβ-Ce_3Al相は結晶構造がわずかに異なるだけで、高圧XANESスペクトル及び高圧電気抵抗において全く相反する挙動を示すという興味深い結果が得られた。この結果は、CePd相やCeGa相における従来の高圧下での高密度近藤効果の発現機構では説明できない極めて特異な現象である。
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