研究課題/領域番号 |
11750581
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機材料・物性
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宇都野 太 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (70232874)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | ITO / 透明電導性酸化物 / シミュレーション / ドーピング機構 / 分子動力学法 / 構造 / 固溶 / 薄膜 |
研究概要 |
透明電導性酸化物ITO(Tin doped Indium Oxide)において、SnはInサイトに置換固溶するといわれるが、置換したSn周りの酸素は、置換に伴い緩和されなければならない。さらに、Snの置換に伴い、格子中の電荷のバランスを補うために、格子間に酸素が取り込まれる。一方、スパッタリングにより作製されるITO薄膜は、その製膜条件により、結晶の配向性やSnの取り込み量が異なることが知られている。本研究では、そのようなSnドーピングによる緩和構造を基に、ITO中のSnのドーピングにともなう構造変化を分子動力学法シミュレーションにより調べ、電気伝導度とSnの固溶量・過剰酸素の取り込み量などの実験データと、本研究で得られたシミュレーション結果を比較することにより、より高い電気伝導性を有するITOの構造を検討することが研究の目的である。本年度は、分子動力学シミュレーションの最も重要なポイントとなるポテンシャルの検討を行った。ポテンシャルの型は、酸化物で最も一般的なBorn-Mayer型2体ポテンシャルを用いた。本研究では、構造情報を最も重要視するため、酸化インジウムの複雑な構造をほぼ完全に再現するようなポテンシャルを探査した。同様に、Snのポテンシャルについては酸化スズの結晶構造を用いた。実際には、NTVアンサンブルで、系の圧力が常圧(latm)になるようなポテンシャルを調査し、得られたポテンシャルを用いてNTPアンサンブルで実際のシミュレーションの条件での結果、構造の再現性が認めれられた。そこで、それらのポテンシャルセットを用いて、ITOのシミュレーションを行った。まず、分子動力学に用いるITOの基本セルを構築した。2In^<3+>=2Sn^<4+>+O^<2->と考え、格子内の電荷の中性を考えると、2個のInと2個のSnが置換すると、酸素1個が過剰に格子間に取り込まれる。このようなセルを構築し、分子動力学シミュレーションを行い、Snの置換位置や、格子間酸素の挙動を調べ、酸素6配位のSnは、結晶学で言うb-siteが安定で、置換により格子内に取り込まれた酸素を配位し7配位になったSnは、d-siteが安定であるという結果が得られた。そして、系の温度を上げ、酸素の拡散挙動を調べた結果、d-siteに置換したSn周りには酸素がトラップされやすく、一方のb-siteに置換したSnまわりには酸素のトラップは比較的少なく、b-siteに置換したSnは活性、すなわち、電子伝導性に寄与していると考えられる。このような過剰酸素の挙動の結果から、Snをb-siteに多く置換した構造をもったITOの電気伝導性が高いことがシミュレーションから得られた最適化構造であった。
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