研究課題/領域番号 |
11750611
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造・機能材料
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
守山 実希 京都大学, 工学研究科, 助手 (70303857)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | Si-ULSIデバイス / Cu配線材料 / 異常粒成長 / 真性歪み / 室温粒成長 / 配線信頼性 / 薄膜材料 / Siデバイス / 粒成長 |
研究概要 |
次世代Siデバイス用の新配線材料としてCuの採用は不可欠とされる。しかし、めっき法で成膜されるCu配線では室温での異常粒成長による粒径分布の不均一が、配線の局所的な変形によるデバイスの信頼性低下を招くことが懸念される。本研究の目的は次世代デバイスに対するCu配線実用化を念頭に、Cu薄膜の特異な室温粒成長機構を解明することにある。 本研究によって得られた結果は以下の通りである。(1)室温粒成長はめっきCu膜だけでなくスパッタCu膜でも観察されることを見出した。(2)基板が室温粒成長に及ぼす影響に着目し、Si_3N_4および岩塩基板上Cu膜と、成膜直後に岩塩基板を溶解して作製したFree-standing(FS)Cu膜の室温粒成長をTEMによりin-situ観察したところ、室温粒成長は基板上のCu薄膜では顕著であるが、FS-Cu膜ではほとんど起こらなかった。この結果からCu薄膜の室温粒成長が成膜時にCu膜に導入される薄膜特有の真性歪みによって促進されることが示唆される。(3)種々の膜厚(25nm〜6μm)のスパッタCu膜の室温粒成長をFIB装置による断面観察によって比較したところ、膜厚が数μmのCu膜では室温粒成長は基板界面近傍のみから起こり、時間と共に膜表面に向かって成長するが、膜厚が厚い場合には粒成長が膜表面に到達する前にほぼ停止した。これらは、膜中の歪みが基板との界面近傍で最も大きく、膜厚が厚くなるに従って表面近傍での歪みは小さくなるような歪み分布を持つ事に対応していると考えられる。(4)上述の結果に基づき、薄膜の歪みに着目したCu配線における粒成長制御の一例として、めっきCu膜の下地となるスパッタCu膜の膜厚を変化させ、めっきCu膜中の真性歪みを制御することにより、室温粒成長開始までの潜伏時間を制御することが可能であることを示した。 本研究結果から、Cu配線材における室温異常粒成長は薄膜特有の真性歪みに起因した現象であり、Cu配線材の微細構造制御を実現するには、配線中の歪み分布の制御が極めて重要であると結論される。
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