研究概要 |
次世代オプトエレクトロニクスや医療分野などにおいて、粒子径、粒度分布、組成が制御された蛍光体微粒子の開発および製造プロセスの研究が重要となっている。本研究では、静電噴霧を利用した噴霧熱分解法による蛍光体微粒子製造プロセスを考案し、広範囲の粒子径をもつ蛍光体微粒子の製造を検討した。 前年度の粒子製造実験をさらに進め、ZnS、LaPO_4:Eu,Tb、Ce-Tb-Mg-Al-O,Zn_2SiO_4:Mnのような蛍光体微粒子を静電噴霧熱分解法で製造し、生成粒子の性状および形態が、静電噴霧器の操作条件、液滴径、溶液の濃度・物性、加熱過程などによりどのように変化するかを、粒子の製造実験により検討した。超音波噴霧熱分解法で得られたサブミクロン粒子に比べて、静電噴霧熱分解法を用いると溶液濃度を低くしなくても、数10nm〜数100nmの蛍光体微粒子が得られることがわかった。また液滴径および最終的な粒子径と噴霧溶液の静電的物性との関係を実験的に明らかにした。 一方、数値計算では、前年度の研究結果をさらに進め、プロセスにおける液滴の蒸発による液滴内の溶質波度の分布を表す拡散方程式を、反応炉内の温度分布、速度分布および漉度分布を表すエネルギー方程式、運動二方程式および拡散方程式と連立して解き、液滴から粒子への転換の過程を数値シミュレーションにより検討した。液滴内および最終的に製造する粒子内の形態を決定するには、液滴サイズ、初期溶液濃度、加熱炉の温度勾配がもっとも重要なパラメーターであることがわかった。小さい液滴、高い初期溶液濃度、緩やかな温度勾配が密に詰まった粒子を製造するという興味深い結果が得られた。
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