ジルコニア触媒の表面修飾による酸性・塩基性の強さ及び量の制御を行い、触媒反応により最適な反応活性点の構築を試みた。それらの中で特にリン酸で修飾した触媒が高い活性を維持した。そのとき、想定される副反応であるメタノールの脱水反応が進行する可能性があるが、上記の触媒ではそれは全く進行せず、炭酸ジメチルが選択的に生成した。FTIR、ラマン分光法、核磁気共鳴法、昇温脱離法などを用いた触媒表面のキャラクタリゼーションの結果から、リン酸修飾ジルコニア触媒では、単なるジルコニア触媒は持たない弱いブレンステッド酸点が生成しており、これが活性をあげる原因となっていることが分かった。さらに、金属酸化物の探索を行い、あらたにセリアが高い炭酸ジメチル合成活性を持つことを見出した。セリアはジルコニア系触媒と異なった挙動をとった。ジルコニア系触媒は、高温で焼成すると表面積が低下し、活性が低下していくのに対して、セリア触媒は、高温焼成することによって表面積が低下するほど、活性が向上してくると言う挙動をとった。現在、その理由については検討中であるが、高温焼成により結晶化度が向上したことによる表面状態の変化が関連しているものと考えている。さらに、セリアージルコニア系固溶体触媒も調製し、触媒作用を検討したところ、固溶体生成にともない、活性がさらに向上した。特に、低温活性も高く、100℃以下でも炭酸ジメチルの生成が観測された。これについても今後、表面構造解析やキャラクタリゼーションを行い、活性構造を解明していく必要がある。
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