研究概要 |
各種マイクロ電極を用いた電気伝導度のその場測定(in situマイクロコンダクトメトリー)を開発し、リチウムイオン電池の活物質粒子1個およびそのコンポジット薄膜に適用することに成功した。電池材料の導電率は電池性能に直接影響する重要なパラメーターであり、本研究により、充放電深度(電位)と対応づけた導電率の精密な評価が初めて可能となった。 (1)単一粒子のin situマイクロコンダクトメトリー 低温焼成メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)粒子1個をガラスセパレーターの細孔に固定し、顕微鏡観察下で針状マイクロ電極2本を標的粒子に接触させ,バイポテンショスタットを用いて充・放電反応(リチウムイオンの脱・挿入)中の直流導電度変化を計測した。これまでX線回折と充放電試験によって予測されてきた層状微結晶間隙へのリチウム挿入反応を,導電率測定という新しい視点から確認し,議論することに成功した。 (2)コンポジット薄膜のin situマイクロコンダクトメトリー フォトリソグラフィーでSiO_2/Si基板上に白金の交互型マイクロアレイ電極を作製した。その形状は10μm幅のバンド電極20本が50μm間隔で対向配置したものである。このアレイ電極上にドクターブレード法で活物質粒子のコンポジット薄膜(膜厚約20μm)を作成した。バインダー高分子にはPVDFを用い、アセチレンブラックやコロイド状カーボンなどの導電助剤を種々のコンポジット比で添加した。調製した薄膜サンプルについて、バイポテンショスタットを用いて充・放電反応を繰り返し行い、電位-導電度プロファイルの変化を追跡した。(1)で得た活物質自体の挙動を考慮し、コンポジット薄膜内の導電ネットワーク保持のための薄膜調製条件の最適化を行った。
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