研究概要 |
再融ビーライトの水和初期における高活性機構の解明を目的とし,以下の実験を行った. Na_2O,Al_2O_3とFe_2O_3を固溶するビーライトをα相安定温度から急冷および徐冷(10℃/secと4℃/min)し,再融反応率(ζ)が0,0.53と0.93の3種類のビーライトを準備した.常温での構成相はα相(ζ=0)と,双晶したβ相(ζ=0.53と0.93)であった.前者の化学式は(Ca_<1.87>Na_<0.13>)_<S2>(Si_<0.90>Al_<0.04>Fe_<0.03>)_<S0.96>O_<3.82>である.後者の再融ビーライト結晶中には,Na_2O成分に富む液(常温でガラス状態)が離溶していた. 試料は遊星型ボールミルで粉砕し,断熱型熱量計の中で蒸留水と混練して,20℃での水和発熱速度を20日間測定した.約0.5h以降はビーライトの水和による発熱であると考えられる.再融反応率が高いと,ビーライトの水和による主要な発熱ピークはより鋭い傾斜で早期に出現した.100h以降は異なる試料間での顕著な違いはみられなかった.再融ビーライトの累積水和発熱量は,2日間で約120J/gであり,急冷したα相ビーライトの約65J/gと比べて約2倍であった.被粉砕性も再融反応によって改善され,過去の研究結果と一致した.前年度の再融ビーライト離溶液のラマン分光法による解析結果と合わせると,離溶液が水と容易に反応してアルカリ成分が直ちに溶出し,再融ビーライト全体の水和が活性化されると考えられる.
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